フラッシュバックとは


フラッシュバックとは、
過去の体験を連想させるような、過去の体験を感覚させるような、
何かのきっかけに接した時、
あるいは、何かそうした刺戟を受けた時に、
「 あのとき 」と同じ感情や感覚が、不意に甦ってきて、
人によって、さまざまな反応を引き起す状態を云います。

フラッシュバックとは気づかない

フラッシュバックでは、
「 あのとき 」の情景や記憶も、一緒になって甦ってくるケースもありますが、ただ感情や感覚だけが、その場で襲ってくる場合が、とても多いものです。

ですから、本人自身も、
そこでフラッシュバックが起きているとは気づきません。

フラッシュバックと感情(情動)

感情とは、ご存じのように、怒り、恐怖やこわさ、くやしさ、恥ずかしさ、憎しみ、悲しさ、苦しさ、不安、などのことです。
(もちろん、よろこびとか幸福感も、感情に入ります)

そして、感情のエネルギーのより強いものを
「 情動(じょうどう) 」と呼んでいます。

情動とは、感情のより強いものですので、
自律神経系などを通して、
身体の反応を瞬時に引き起すことになります。

そして、フラッシュバックに限らず、
発生する情動が強いほど、たとえぱ
動悸が激しくなったり、手足が震えてきたり、手のひらに汗をかいたり、息が詰まりそうになったり、頭が真っ白になったり、ワッと叫びたくなったり。
などの身体反応・身体症状を、様々に引き起すことになります。

つまり、フラッシュバックとは、過去の出来事や体験による感情や情動が突然甦ることで、なんらかの身体反応が引き起される「 情動身体反応 」のことです。

しかし、「 あのとき 」の情景や記憶を伴わない、
ただ感情や感覚( あるいは気分のようなもの )だけが引き起されるケースでは、それがフラッシュバックだとは、本人自身も気づきません。

アクティング・アウトとホワイトアウト

アクティングアウトと云って、それが
突発的・衝動的な行動をもたらすことがあります。

パニックや衝動行為がみられたときには、一応フラッシュバックではないかと考えてみてください。フラッシュバックという言葉が映画に由来するので、視覚イメージだとみんな思っているでしょ。そうじゃないんですよ。
( 神田橋條治 精神科医・精神療法家 )

そのため、パニック症状や不安発作、あるいは場合によっては、幻聴と間違えられて、誤った治療を延々とされ、そのためにかえってひどい状態像になっている人たちは、現実にかなり多いと云われています。

逆にホワイトアウトといって、
瞬間、頭が真っ白になって、身体の動きが止まってしまう(フリーズ)してしまうこともあります。

感覚だけが引き起されるフラッシュバックでのホワイトアウトの場合には、ごく瞬間的な時には、自分自身でも余り気づきません。

中井久夫先生がどこかに書いていらっしゃったけれども、統合失調症の患者さんに抗精神病薬を与えて、ある程度うまく治まったけれども、ある特定の幻聴や妄想がどうしても消えないときに、それがフラッシュバックである可能性がある。僕もそれは何例か経験していますが、抗精神薬が効かない。
( 神田橋條治 )

フラッシュバックは、薬剤で消えたり、なくなったりする性質のものではない、という特徴があります。

たとえば、発達障害を持っている人たちなどは、過去に受けた叱責や罵倒、心ない言葉等々を、繰り返し繰り返し甦らせてしまうことがあります。
そのため、フラッシュバックにもかかわらず、幻聴などと誤診され、安易に統合失調症とされて、延々と誤った薬物投与をされているケースもあります。

普段の生活の中でのフラッシュバック

たとえば、どんなに辛い過去の出来事や体験だとしても、
ただそれを思い出したり、回想するだけでは
フラッシュバックとは云いません。

自分の意識とは無関係に、その時の感情や情動、あるいは感覚や気分だったりが甦ってくる情動反応が、フラッシュバックの本体です。

情動反応ですので、単なる考え方や理屈、気の持ちようなどで、
克服できるものではありません。

フラッシュバックと聞くと、多くの人たちは、
事故や災害に巻き込まれた方たちが、事故や災害の記憶から抜け出せずに、パニックになったり、なにかの精神症状を現したり、ということを想像されるかもしれません。

でも、カウンセリングで出会うフラッシュバックは、
決してそうしたものばかりではありません。

と云うよりも、むしろ多くのフラッシュバックは、
普段の生活・普段の人間関係の中で生まれているものです。

ですから、フラッシュバックとは、
実は、わたしたち自身の身近にあるものなのです。

あるときテレビで、住宅街で爆発火災があったニュースが流れ、
現場の近所に住む老人が、「 爆発音を聞いて、太平洋戦争のときの東京大空襲の情景を思い出して、とってもこわかった 」 と、震えながらカメラの前で語っているのを、見たことがあります。

しかし、こうした
ある意味でよく分かりやすいフラッシュバックは、
フラッシュバックの中でも、
むしろ少数派かもしれません。

普段の生活の中でのフラッシュバック

上に記したように、感情や感覚・気分だけが、なにかのきっかけで不意に甦ってくるフラッシュバックの場合には、それがラッシュバックだとは分からず、かえって、その人の人生や生き方に、ひどく影響を与えてしまうような事が、時に出てきます。

たとえばですが、
人の頭ごなしの言動や態度に対して
ひどく過敏・過剰に反応する人がいらっしゃいます。

もちろん、そうした言動や態度に接して
不愉快に感じない人はいないはずです。

しかし中には、そうした言動や態度を見せる人に対して、非常な嫌悪感や拒否感、あるいは、普通以上の怒りや反発心を示す人がいます。

しかも、実際に頭ごなしの言動を行なう人に対してだけでなく、
なんとなく( 実際はどうか分からないのに )そんな印象を受ける人に対してさえ、一方的に嫌悪感や反発心を抑えられません。

もしかすると、過去に、誰かから、そうした扱いを受けて、
ひどく傷ついたり恨んだり、不安やおびえの体験の記憶が、
底の奥に隠れているのかもしれません。

それが、「 いま目の前 」にいる人に、
オーバーラップされてゆく。

普通の記憶・思い出になってゆくこと

フラッシュバックからの回復とは、
「 思い出さなくなること 」ではありません。

「他の記憶や思い出」の中に混じり合ってゆくことです。

思い出や記憶には、楽しかったこともあれば、
イヤだったこと、つらく苦しかった思い出、もう思い出したくないと考えている記憶や思い出などもあります。悲しかった記憶もあります。

それらの中の一つになってゆくこと、
それがフラッシュバックからの回復なのです。

ご自分自身を苦しめている
フラッシュバックにつながる感情やわだかまりは、
ご自分一人で抱え続けるのではなく、

落ち着いた安心できる場で、少しずつ少しずつ、一歩ずつ、
共に整理してゆくことで、やがて
別の形に消化( 昇華 )してゆくものだと、思います。

細かなことは色々ありますが、そうしたやり方を大切にしながら、
カウンセリングをおこなっています。


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