ストレス症状詳しく

刺戟とストレス  日常みられるストレス症状


心のストレスは直接自覚しずらい ・ ・ ・ ・

わたしたちは、心のストレスそのものを
直接自覚しずらい、ということがあります。

身体の症状が出ていても、どうしてそうなっているのか
ご自分ではなかなか思い当たらずに、
カウンセリングで、ご一緒に整理していくなかで
「もしかすると、こうしたことが負担やストレスに
 なっていたのかもしれませんね」
「そうですね、たしかに、そうかもしれない」
というふうに気がついてゆくことは
よくあるものです。

何故そういうふうになるかと云うと、
心のストレスが
感情」の形をとるからです。

感情とは、ご存じのように
怒り、憤り、嫌悪感、苦しさや悲しみ、こわさや不安、
それに、喜びや嬉しさ、などのことです。

「感情」の中でもエネルギーの強いものを
情動」と呼んでいます。
情動は
主に自律神経系(交感神経・副交感神経)を通して
身体に対して、より強く影響を及ぼすことになります。


わたしたちは何か特別な知識がない限り、
普段の生活で自分の感情を
客観的に自覚したり、意識することをしていません。

たとえるなら、
「身体は感じているけれど、自分は意識できていない」
と云えるかも知れません。

そのため、わたしたちが
「ストレスかな?」とか、
「なんかあるのかな?」と
意識し自覚する場合、よくあるのは、
身体に不調感を感じることがきっかけになります。

胃が重い、めまいがする、湿疹が出る、
眠れない、肩が凝る、等々。
こうして身体系に
なんらかの不調感・症状を感じることで
ストレスの存在を間接的に意識したり、
考えたりすることになります。

「もしかしたら、最近ストレス気味かも 」
「なにかストレスがあるのかな」
となるわけです。

しかし、そうした「症状」は、敢えて云えば
心のストレスの「影」にすぎません。

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

上のような理由のため、
身体系に現われてこないような場合には、
( たとえば、もっぱら行動で発散するタイプだったり、
 行動として現す傾向の人の場合など、
 「ストレス行動タイプ」の人。 )
自身が内的に感じているストレスや精神的な負担を、
自覚したり、意識することが出来ないことがあります。

こうしたタイプの人の場合には
そうしたストレス行動が
「ストレス発散」「気分転換」の域を越えて、
身体を壊すまでになるケースが
よく見られます。

身体を壊すに至ってからも
「ストレスなんかは、別にないんだけど」
とおっしゃる方も、いらっしゃいます。


 
・ ・ ・ 実際にストレス潰瘍になっている人でも、まったく自分のストレスに気がついてない人も少なくありません。特に飲酒、睡眠不足、暴飲暴食、その他生活の乱れがある人は要注意です ・ ・ ・ 苅部正巳 心療内科

上で云われている「生活の乱れ」とは、
要するに「ストレス行動」ということだと考えて
よいと思います。

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

葛藤やストレスを抱えて苦しくなってくると、
わたしたちは、それを「ストレス症状」として
おもてに出すことをしています。

ストレス症状には、
メンタルや精神面にあらわれる「
心理・精神症状」。
行動としてあらわす「
行動症状」。
身体の不調感や心身症としての「
身体症状・心身症」。
これら三つの面があります。

これらをまとめて「ストレス症状」と呼んでいます。

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

心理(精神)症状 とは、たとえば
「頭の中でいろいろ考えてしまって眠れない」
「とてもイライラする、あせりを感じる」
「不安に押しつぶされそうになる」
「気持ちが沈んで、なにもやる気が起きない」
「叫び出しそうになる」
などというものです。

行動症状 とは、たとえば
「パチンコやギャンブル等に過度にのめり込む」
「多飲酒行動を繰り返す」「脂っ濃いものばかりを食べる」
「(イライラして)人にやつ当たりする」
「引きこもる」「過食を繰り返す」
「リストカットをおこなう」などを云います。

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

ここでは主に
身体症状・心身症について触れています。

心身症についてですが
誤解されていることがあるようです。
心身症とは、からだの病気のことを云います。

精神的なストレスや葛藤、
心労などの心理状態が
病気の成り立ちや発症に
深くかかわっている身体の病気のことを
心身症」と云います。

ですから、たとえば、
心身症としての
糖尿病
心身症としての
甲状腺機能亢進症・低下症
心身症としての
高血圧症(本態性高血圧)
心身症としての
胃潰瘍潰瘍性大腸炎
心身症としての
子宮筋腫
心身症としての
腰痛(作家の夏樹静子さん)など
さまざまに存在することになります。

身体症状 とは、病気とまではいかないような、
身体の不調感だとか症状を指しています。

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

強いストレスやこころの葛藤、
あるいは心の休まらない慢性的な緊張感は、
交感神経系の過度の亢進・興奮として現われます。
(もちろん、その背後には
 なんらかの強い感情や情動が存在しているわけです)

そうしたストレスや葛藤等が
長期間つづく場合には、
交感神経系の亢進も慢性的に存在することになります。


交感神経系の過度の亢進は、
身体のいろいろな「分泌活動」を
低下・抑制させることになります。

唾液から始まって、胃酸などの消化器の分泌、
免疫細胞の働きなども影響を受けます。
(免疫細胞は、いろいろな攻撃物質を分泌することで
 異常な細胞やウィルスなどを破壊します)
インスリなどのホルモンの分泌も同様です。


胃酸の分泌が低下すると、
ピロリ菌などが住みつきやすくなります。

ピロリ菌が悪役にされがちですが、
見当外れです。
ストレスによつて胃の調子が悪くなると、
安易に胃薬を服用しがちです。
胃薬は、さらに胃酸の分泌を抑制するために、
胃は慢性的な胃酸抑制状態におかれ、
胃環境は、一層悪化していきます。

緊張性頭痛での頭痛薬と同様に、
薬の常用が、慢性化を引き起すことになります。


たとえば、唾液は、
口の中の免疫や防御活動の主役です。

唾液を含めた口内免疫・口内防御系の慢性的な低下は、
歯槽膿漏などを発生しやすくさせます。
歯槽膿漏等を発生させる細菌は
珍しいものではなく、日常存在しているものです。

交感神経の慢性的な過度の亢進は、血管を収縮させ
末梢(手足の先など)の血行を妨げることで
血行を悪くしたり、
冷え症などを生むこともあります。

ひどい肩凝り(筋肉の緊張)や緊張感で
頭部への血液の循環が妨げられると、
「顔まで冷たくなる」「憂うつな気分になる」
とおっしゃる方もいらっしゃる程です。


日常みられる便秘も、
交感神経系の亢進によることが多いものです。
副交感神経が亢進すると
下痢という形で現われます。

ですから、
便秘と下痢を交互に繰り返す人の場合には、
慢性的な交感神経系の亢進状態がペースにあるため、
自律神経系が心身のバランスを取ろうとして、
懸命に働いている、ということになります。

何故なら、生体は
交感神経系の過度の興奮(亢進)状態が続くと、
そのままでは身体に負担がかかり続けるので、
リラックス信号を出して、緊張から回復しようとして、
副交感神経を働かせようとするからです。

これを副交感神経反射、といいます。

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

交感神経系の慢性的な亢進は、
目や耳にも影響を与えます。
緑内障飛蚊症(びぶんしょう)
突発性難聴メニエール症候群
さまざまな症状や病気を生むきっかけになります。

免疫学者の安保徹氏が、こんな自体験を書いています。
・ ・ ・ ・ 1999年に私の研究室の隣の部屋で火事が発生し、研究室すべてが全焼してしまった。放水の為に、すべて水浸しになってしまった。
それから半年間、私の血圧は上が180〜170、下が120〜110。これがずっと続いたのである。人間のストレスとは、これほど凄いものなのだ。
つらい半年ではあったが、みずから経験したことで、とても勉強になった。ストレスがどれだけ病気を作るかについて、身をもって体験したのである。
まずその時から耳鳴りがはじまった。そして目の前に、ずっと蚊が飛んでいた。いわゆる飛蚊症(びぶんしょう)である。加えて肩コリ。半端な肩コリではなく、首が回せなくなってしまった。
そして尿が一度に出きれない。残尿感があって、残った分が歩いているうちに出てしまい、下着を濡らす。あとは不眠である。寝汗もかいた。でも、症状をひとつひとつ噛みしめながら、薬は飲まなかった。
飛蚊症になるのは、(交感神経亢進による)目の血流障害が原因であるし、尿を出し切れないのは、交感神経緊張状態で副交感神経が抑制され、排尿がスムーズに行なえないからなのである ・ ・ ・ ・

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

いま、40代以降の人たちに
突発性難聴が増えていると云われています。

もっとも、突発性難聴は中高年だけの病気ではありません。
ある二十代のサッカー選手が
慣れない外国暮らしのストレスと葛藤で
ある日突然、突発性難聴になったという話しを
聞いたことがあります。

交感神経系の亢進は、
人によっては眼球の圧力(眼圧)の上昇をもたらします。
こうした眼圧の亢進が日常的に続くことで、
緑内障の原因にもなります。

   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

甲状腺の機能亢進高血糖症糖尿病なども、
ストレスとのかかわりが大きいものです。

糖尿病の発症にも、
ストレスが大きくかかわっていることは
あまり知られていないようです。
肥満だから、というだけではありません。
痩せている人でも糖尿病の方はいらっしゃいます。
そとて、西洋人と違い、
日本人の糖尿病はこの型が多数です。

慢性的ストレスそのものが、
自律神経やホルモンを通して肝臓を刺激し、
高血糖状態を作ります。
(肝臓は、糖を作り出す臓器です)

ですから、手術の場合には、
手術による生体にかかる強いストレスで、
肝臓からの糖の産生が高まる為に、
血糖値の高い患者さんには、
手術後に、あらかじめインスリンを
注射することをしています。

また、交感神経系の亢進は
インスリンの分泌を抑制することがあります。

インスリンの分泌が抑えられると、
さらに高血糖状態になります。
そうして、高血糖状態とストレスによる
活性酸素とが、
インスリンを分泌する膵臓の
細胞を障害します。
そのため、更にインスリンの分泌が障害されます。

わたしたちの身体には、
活性酸素を除去する仕組みが備わっていますが、
膵臓ではその仕組みが弱いと云われています。

糖尿病には、こうしたメカニズムが背景にあるために、
たんに薬物や食事制限などの対症療法を繰り返しても、
本当の意味での回復は見込めません。
 

   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

帯状疱疹も、ストレスその他による
免疫系への影響によって発症するものです。

ご存じのように、HIVの患者さんが
エイズを発症する過程で、最初に発症してくるものが
この帯状疱疹です。
つまり、免疫系がそれだけ低下しているわけです。

   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

たとえば、ご存じのように、
わたしたちの身体の中では
毎日、何千・何万というガン細胞が生まれています。

臓器や器官には、
異常になった細胞を処理する仕組みがありますし、
白血球などの免疫細胞たちが、退治してくれます。

元の場所を離れて血液中に流れ出るようなガン細胞も、
わたしたちの血液中やリンパ液中には
さまざまな免疫細胞や防御物質が
無数に存在しているので、
普通であれば、すぐに退治してくれています。

免疫学の安保徹氏は、
このようなことを書いています。
・ ・ ・ ・しばしばガンは進行するまで無症状だと言われますが、これは間違いです。
 患者さんにガンにかかる前の体調について聞くと、大半の人が「カゼに似た熱が何回か出た」「微熱があって、体がだるいことがあった」と答えます。これは「傍腫瘍(ぼうしゅよう)症候群」と呼ばれる現象です。体の中で異常な自己細胞ができると、リンパ球(白血球)がこれを攻撃します。そのときに出る熱です。つまり本格的なガンになる前に、リンパ球は何度もガンを殺しているのです。
 微熱が出てだるいのに、無理を続けていれば、またガン細胞は息を吹き返して、やがて本格的なガンになっていきます・ ・ ・ ・


ご存じのように、カゼが治っていくプロセスにも
発熱があります。
熱が出て一日・二日寝て身体を休めたあとでは、
いつ迄もグズグズと症状が長引いたりせずに、
スッキリ回復するものです。

免疫系がウィルスと闘うとき、わたしたちの身体は、
体温を上げて免疫系の活動を援助します。
体温が上がることで免疫系などが活性化するからです。

風邪やガンにかかわらず、
発熱(微熱)という症状・現象では、
とても大切な修復作業が
体内でおこなわれていることを意味します。


・ ・ ・ ・
余裕のある健康者における悪性腫瘍の進行は遅く、努力によってかろうじて精神的健康を保持しているグループの進行は早いという報告もある。
日々何百何千と発生する悪性腫瘍にむかう突然変異細胞を処理するシステムが、精神的ストレス状態にあって、かろうじて精神的健康を維持しているグループにおいては、機能不全となり、悪性腫瘍の進行が早いのであろうか
・ ・ ・ ・中井久夫

ガン細胞は、健康な細胞に比べて、
実は、とてもひ弱な細胞のために、
実際には、生き残るものはとても少なくなります。
生き残ったとしても、
極小のまま、ひっそりと身体の片隅で存在し続けたり、
やがて消えてなくなったりします。

かつて「ガン細胞もどき」などと云われていたものが
こうしたものです。

   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

心のストレス・葛藤が元々強い人、
心のストレスを持ちやすい人、
あるいは、
強いストレスを長い間抱えている人というのは、
いつも交感神経系を興奮させている人、
交感神経系を亢進させやすい人だと云えるでしょう。

交感神経系の慢性的な亢進は、
免疫系や白血球の働きにも影響を与えることになります。

円形脱毛症 なども、
白血球などの免疫系のかかわりが云われています。
「円形脱毛症はなかなか良くならない、難治性だ」
という言葉を医師からよく聞くことがありますが、
薬を飲んだり塗ったりして、治るものではありません。


むかし、会社勤めをしていた頃、
部署異動後、半年で髪の毛の半分が抜け、
残った頭髪も真っ白になった人を見たことがあります。

一年後に、みかねて元の部署に戻されると、
髪の毛が元通りに戻っていました。
ストレスは、すさまじい影響を
わたしたちの身体に与える場合があります。

ただ、この人を見ていて思ったのは、
強いストレスがこうした形で現われていなければ、
おそらく、他の身体病で倒れていたかもしれない、
ということです。

わたしたちの身体は、
生体がより重大な破綻、決定的な破綻に至らないために、
その前に、いろいろな形で
逃げ道を作っているからです。

これを「身体の局地的戦略」と呼ぶ人もいます。
あるいは「身体からのサイン」とも云われたりします。

ですから身体症状には、生体(身体)による
「自己防衛反応」としての重要な意味も
同時に存在するものです。
 

 

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