生理とストレス



女性と男性の違いのひとつに生理(月経)の存在があります。
月経周期や月経の問題にも
精神的なストレスや心理的な要因のかかわっていることが
少しずつ理解されるようになってきています。


・ ・ ・ 日本産婦人科学会(1990年)では、正常月経周期を25日〜38日と間と定義しているが、多くの女性はこのことを知らない。そのために、28日あるいは30日ごとに規則的に繰り返されないことで、月経周期が不規則であると悩んでいる。
 25日周期の者は一カ月に2回の月経が訪れることもあるし、35日周期の者は月経のこない月もあるが、それも正常周期の範囲のことである。
 しかも月経周期は、生活のさまざまな要因によって影響を受ける。人間関係でのドラブルや悩み、試験や旅行、残業や仕事でのストレス、普段と違うイベント事などの影響で、容易に変動する
・ ・ ・ 川瀬良美


月経周期にともなって
なんらかの
心理・精神症状身体症状を自覚する女性は
多いと云われています。

その多くは健康範囲のものですが、
中には、そうした症状に悩まされていたり、
そうした症状によって日常生活に影響が出ている女性も
かなりいらっしゃることが、知られています。


そうした「
月経周期にともなって自覚される心身の不調あるいは変調 」のことを、「 月経随伴症状 」と云います。
 

比較的よくみられる月経随伴症状

■ 心理・精神症状

イライラしやすくなる  怒りっぽくなる  攻撃的になる  憂うつ感に襲われる  無気力になる  物事が面倒になる  不安感がたかまる  涙もろくなる  集中できない  小さなこと・ささいなことが気になる  能率が低下する   等々

■ 身体症状・行動症状

下腹部の張り  下腹部痛  腰痛  疲れやすくなる  眠くなる  おりものが増える  乳房の張り  乳房の痛み  むくみ  のどの渇き  頭痛  頭が重い  肩こり  めまい  手足の冷え  下痢  便秘  食欲の亢進・減退  アレルギー症状が出る  ニキビができやすい  肌荒れが出る  食べ物の嗜好が変る

家族や友人に暴言を吐く  口論しがちになる  人付きあいが面倒になる  家に引きこもる  性欲がたかまる・減退する   等々


生理とストレス
こうした月経随伴症状は、たんに月経という
生理的な状態から生じているばかりでなく、
心身のストレスや精神的な葛藤、心理的な要因などが、
症状に複雑にかかわっていることがあります。

月経の問題に心理的な要因が影響を与えることは、
すでによく知られています。
精神的なショックなどで、月経が止まることもあります。


    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
    生理・ストレス・視床下部(ししょうかぶ)

生理( 月経 )は、どのようにして
感情やストレスとかかわるのでしょうか。

生理のサイクルには脳の視床下部(ししょうかぶ)が
中枢として関係しています。

視床下部は脳の中央深くに在って、
生体活動 ・ 生命活動に深く関わっている部位です。

それと同時に、自律神経( 交感神経・副交感神経 )の
脳側の中心でもあります。


月経の周期には、女性ホルモンが関わっていますが、
女性ホルモンの分泌にも
視床下部(ししょうかぶ)が中枢として働きます。

また他の臓器( 胃腸・心臓・肝臓・腎臓その他 )と
同じように、
子宮にも自律神経系が複雑に走っていて、
子宮の動きや働きに影響を及ぼしています。

そして、女性ホルモンの分泌と自律神経系の働きとが、
相互に影響し合う、ということも
起きてきます。
 

・ ・ ・ ・ 性ホルモンが自律神経機能に大きな影響を及ぼすことは、生殖年齢の女性に見られる月経前緊張症が自律神経症状をともなうことから、容易に推論されるところで、性ホルモンが気分に及ぼす作用をもつことともあいまって、さまざまな不快な現象をおこす ・ ・ ・ ・ 自律神経系と内分泌系

どんなことが、どのような
葛藤やストレス・心の負担をもたらすか。
それがどのように心身に表れるか。
人が違えば、みんな違います。
誰のものでもない、あなただけの物語りがあるものです。


生理や子宮も、怒りとか悲しみ、不安や苦しさなどの
感情( 情動 )に影響を受けますし、
そして、それがまた心身に影響を与えるというように
悪循環を生むことにもつながる場合があります。


  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
  月経前症候群  月経困難症

月経随伴症状は、症状のあらわれ方によって
月経前症候群(生理前症候群)、
月経困難症、
周経期症候群
(PEMS)、とに分類されています。

月経前症候群とは、月経開始3〜10日前( 黄体期 )に始まって、月経の開始と共に( あるいは月経の開始から1・2日で )消えてゆく症状。

月経困難症とは、月経の始まりと共に生じる、あるいは月経の直前(1・2日前 )から始まる症状で、月経の終了に従って消えてゆく症状。

周経期症候群は、月経前から始まって月経になっても続く症状で、むしろ月経時に症状の程度が強まるもの。

上の三つとも、1・2度あった、時々ある、というのではなく、症状が周期的に生じているものを指しています。


  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
  ご自分のパターンを知っていく

カウンセリングでは、ご一緒に整理してゆくことを
とても大切しています。
 

月経随伴症状にまつわる内容の場合でも、
まずはご一緒に、いろいろなことをお話しながら、
整理してゆくこと、理解してゆくことが大切です。

その中で、少しずつご自分のパターンとうものに
気がついてゆくこと、理解されてゆくことも
出てくるかも知れません。

・ ・ ・ 客観的に実態や状態を把握することで、症状が軽減したり消えたりする例は多い ・ ・ ・ 「月経と心理臨床」

そのために、カウンセリングでも
ケースによっては、ためしに
記録をつけてみることを勧めすることがあります。


漠然とした記憶だけでは
勘違いや思い込みをしていることも多く、
たとえば自分では
生理前症候群だと、なんとなく思っていたのが、
記録をつけてみると
実は周経期症候群だったり、月経困難症だったり、
というケースも
かなりあることが云われています。

あるいは、月経前症候群と月経困難症、あるいは周経期症候群の症状が、混ざり合って現われているという場合もあります。


(日本での調査・臨床例などでは)月経前になんらかの自覚症状のある者は60%〜87%と多数認められるが、月経前だけ症状があるという比率は、その中でも2分の1〜3分の1程度である。
 身体症状で最も訴えの多い、下腹部痛、腰痛、肩こりなどは、月経の開始前から発現して月経時にも存続していたり、症状のピークが月経時にあるという、PMS(月経前症候群)とは異る様相を示していることが多く見られる。
・ ・ ・ 川瀬良美


事柄の性質もあってか、
月経随伴症症を直接の悩みとして
カウンセリングにいらっしゃる方は
それほど多くはありませんが、
お会いしてお話をしてゆく中で、
こういった悩みに触れてゆく場合は、
意外に多いものです。
 

   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
   月経前症候群(生理前症候群)

・ ・ ・ PMS(月経前症候群)の診断基準は、
1・黄体期(月経開始の3〜10日くらい前)から発症して
  月経の始まりと共に消失あるいは減退する。
2・同一症状が周期的に繰り返している。
3・日常生活に影響が出るほどの症状である。
これら三点を満たすものと考えることができる
・ ・ ・ 川瀬良美

*「我慢すれば耐えられる」というのは
 日常生活に影響を与えている、に入るものです。

10代・20代はじめの女性の生理前症候群には、月経に対するネガティブイメージが心理的に関わってい場合も多い、ということが云われています。


また、神経症的な気質や傾向を持つ女性の場合などは、月経随伴症状が強くあらわれやすく、その波も大きくなりがちで、あらわれる症状も比較的多彩になる傾向のあることが云われています。

 ・ ・ ・ 神経症傾向(のある女性は)症状の訴えが多いのみならず、月経周期のあらゆる時期に症状が発現することが示されており、PMSによくみられる症状であっても、月経開始とともに消失するというPMSのパターンには当てはまらないのが特徴である ・ ・ ・ 「成熟期年齢の月経とPMS」

 
   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
   そもそ生理(月経)とは?

■ 生理の周期(サイクル)〜 増殖期・分泌期・月経期 〜

月経とは、
女性ホルモンの働きが止まることで、子宮の内側の粘膜表面の層が壊死(えし)を起こして、剥がれ落ち、粘膜の組織と一緒に月経血となって、子宮の外に排出される現象を云います。

月経の時に剥がれ落ちる子宮の内膜は、卵子が受精した際には(つまり妊娠したら)、受精した卵子(胞胚・ほうはいと云う)が着床(ちゃくしょう)して、そこで成長してゆく大切な場所になります。
ですので、妊娠したときには月経は起きません。

女性ホルモンとは、
主に「卵巣(らんそう)」で作られるホルモンのことで、
エストロゲンプロゲストロンとがあります。
卵巣とは、卵子が生まれてくる器官です。


女性は生まれてくる時に、すでに一生使う数の卵子を持って生まれてきます。
それを卵子の素(もと)になる細胞なので「卵母(らんぼ)細胞」いいます。
初潮を迎えてから以降、この細胞を約一カ月に一個ずつ、卵巣の中で成熟させて、順番に排卵していきます。これが生理の周期です。
 

子宮内膜は、月経周期にともなって、たえず再生と壊死をくり返しており、「増殖(ぞうしょく)期・分泌期(黄体期)・月経期」の三つのプロセスに分かれ、これが繰り返されていきます。

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

■ 増 殖 期
前の月経の終わりから次の排卵(はいらん)までの時期を云います。
前の月経のときに剥がれ落ちた子宮内膜の表面が、エストロゲンという女性ホルモンの働きによって、再び作られてくる時期です。

エストロゲンの分泌は、排卵の48時間前にピークを迎えます。精子が膣から子宮内に入ってきやすくするために、大量の粘液を分泌させます。

排卵とは、卵巣で育ち成熟した卵子が、卵巣から飛び出して卵管へ入ってゆくことです。
卵子は卵管の途中まで進んで、そこで精子との出会いを待ちます。
卵子が飛び出したあとの卵巣には、黄体(おうたい)という物質が作られます。その黄体から
プロゲステロンという女性ホルモンが、さかんに分泌されます。

■ 分 泌 期・黄体(おうたい)期とも呼ばれます。
排卵から次の月経が始まる直前までの時期を云います。

プロゲステロンは、受精卵が子宮内膜に着床して育ちやすいように、子宮の収縮を抑える働きなどをしてくれます。
また血液の中を流れて脳にとどき、脳の視床下部(ししようかぶ)に働いて、基礎体温を上昇させます。

■ 月 経 期
受精がおこなわれなかった場合には、排卵後12〜13日すると
エストロゲンプロゲステロンの作用は低下していきます。
そうすると子宮内膜は壊死をおこして剥がれ落ち、血液と一緒に排出されます。
ですので月経血には、血液だけでなくさまざまなものが含まれています。
血液と一緒に子宮の粘膜が排出されることを「月経」と云います。


この一連の「生理サイクル」を、女性は繰り返していきます。
この生理周期(サイクル)全体が、25日〜38日が、おおよそ正常周期の範囲だと考えられています。

 

 

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